エミリア・ロマーニャとトスカナ
(イタリア)

ボローニャ、ラヴェンナ、サン・マリノ、
シエナ、サン・ジミニャーノ、フィレンツェ
(1999年06月)

16. ガラ・プラキディア廟(ラヴェンナ)

ガラ・プラキディア廟
(あるいは、ガッラ・プラチディア廟)

5−6 世紀のモザイク画に飾られたサン・ヴィターレ教会の敷地の中に、小さなギリシャ十字架型の建物(下の画像)がある。数々の悲劇の主役を務めた西ローマ帝国末期の皇女ガラ・プラキディアの廟だと信じられてきた建物なんだ。

ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の敷地内にあるガラ・プラキディア廟(イタリア) ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の敷地内にあるガラ・プラキディア廟(イタリア) ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の敷地内にあるガラ・プラキディア廟(イタリア) ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の敷地内にあるガラ・プラキディア廟(イタリア)

集中式建築 と ギリシャ十字型建築

古代ローマ人の集会場に起源を持つバシリカ様式の建物とは異なり、ヘレニズム建築やユダヤ教のシナゴーグなどの建築の伝統を伝える建築の様式。

集中式の建築物には、洗礼堂や霊廟などの特殊で小型のものが多い。

上の画像に見るガラ・プラキディア廟は、四本の腕の長さが等しいギリシャ十字型の集中式建築の典型的な例だとされている。

このガラ・プラキディア廟の中には、5世紀前半のものと推測されるモザイク画が残っている。イタリアの古都ラヴェンナに残るたくさんの古いモザイク画の中でも、最古のものがここにあるわけだ。






モザイク画 「水盤から水を飲む鳩」

小さな建物は、ガラスではなく薄いアラバスター(雪花石膏)の窓を通して日光を取り入れている。その薄明かりの中には、いくつものモザイク画が浮かび上がっている。(今では照明もあるんだけどね。)

そのモザイク画の中で、小さいながらも見落とせないのは、「水盤から水を飲む鳩」と呼ばれているモザイク画(下の画像)なんだ。

イタリアの古都ラヴェンナにあるガラ・プラキディア廟に残るモザイク画「水盤から水を飲む鳩」 イタリアの古都ラヴェンナにあるガラ・プラキディア廟に残るモザイク画「水盤から水を飲む鳩」 イタリアの古都ラヴェンナにあるガラ・プラキディア廟に残るモザイク画「水盤から水を飲む鳩」 イタリアの古都ラヴェンナにあるガラ・プラキディア廟に残るモザイク画「水盤から水を飲む鳩」

中世ヨーロッパの美術において、鳩は聖霊の象徴とされているよね。でも、このモザイク画の中の鳩は、聖霊には見えない。むしろ、そのあたりを飛んでいるような、ありきたりの鳥だ。中世ヨーロッパでキリスト教に捧げられる前の写実的な心が、この5世紀前半には生き残っているみたいだね。

と勝手な解釈ばかりでもしょうがない。資料を読めば、鳩は魂を象徴しているんだそうな。対して、水が象徴しているのは癒しと平和。つまり、このモザイク画が示しているのは、永遠の命の水で魂の渇きを癒すことなんだそうな。

モザイク画 「良き羊飼いの図」

もう一つの好きなモザイク画は、「良き羊飼いの図(下の画像)」。建物の中は暗いんだけど、このモザイク画は明るいでしょ。次第に「死」を教義の中心にしていくキリスト教なんだけど、この時代に描かれるキリストは暖かいよね。地上に生きる者たちを導く存在だったんだろうな。

ガラ・プラキディア廟に残るモザイク画 「良き羊飼い」(ラヴェンナ、イタリア) ガラ・プラキディア廟に残るモザイク画 「良き羊飼い」(ラヴェンナ、イタリア) ガラ・プラキディア廟に残るモザイク画 「良き羊飼い」(ラヴェンナ、イタリア) ガラ・プラキディア廟に残るモザイク画 「良き羊飼い」(ラヴェンナ、イタリア)

ところで、この「ガラ・プラキディア廟」。最近の研究では、ガラ・プラキディアの遺骸は古代と現代のイタリアの首都ローマヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂近くの墓地に葬られたとされている。この小さな十字架型の建物の建設を命じたのは彼女だと言われているけど、彼女はここには葬られなかったらしい。

じゃあ、このギリシャ十字型の霊廟に葬られたのが誰なんだ ?? それがはっきりしないんだ。私には、この小さな建物が、あっけなく滅亡した西ローマ帝国のささやかな霊廟のようにも思えるんだけどね。

ところで、西ローマ帝国の皇女ガラ・プラキディアの生涯について整理しておいたから、興味のある方は読んでみてね。

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